EC販売を伸ばすAI活用戦略|電通AI調査やAI販売実態から考えるEC小売経営
- 角井亮一

- 3 日前
- 読了時間: 4分
更新日:2 日前
EC事業を取り巻く環境は、明らかに次のフェーズに入っています。
人手不足、広告費の高騰、競争激化に加え、近年は物流コストの上昇やフルフィルメント体制の限界が、経営課題として重くのしかかっています。

こうした中で、AIをどう使うかは、現場改善の話ではなく、経営判断そのものになりました。
2025年7月3日、電通は「対話型AIとの関係性に関する意識調査」を発表しました。この調査は、AIが社会の中でどのような位置づけになりつつあるのかを示す、非常に示唆に富む内容です。
本稿では、この調査結果を“入口”としながら、ECにおけるAI活用が売上・物流・競争力にどう影響しているのかを整理します。
電通調査が示す対話型AIの浸透|AIはすでに前提条件になり始めている
電通の調査によると、対話型AIを週1回以上利用している人は全体で20.7%。これが若年層になると大きく跳ね上がり、10代では41.9%、20代でも28.7%に達します。

さらに注目すべきは、利用頻度だけではありません。
AIを信頼している人は86.0%
AIに感情を共有できると答えた人は64.9%
多くの人にとって、AIは「たまに使うツール」ではなく、常に身近にある存在になりつつあります。

ECを行う小売経営者として重要なのは、この結果を依存の是非として論じることではありません。
顧客はすでにAIに慣れた状態で、情報収集や購買判断をしている——この前提を、どうEC運営に組み込むかが問われています。
ECにおけるAI活用が経営成果を左右する理由|売り方と物流が同時に進化する
ECの現場では、AIはすでに実務レベルで成果を出しています。
需要予測による在庫最適化(在庫管理)
パーソナライズされたレコメンド
チャット型接客によるCVR改善
商品説明や画像生成の高速化
特に重要なのは、販売と物流を切り離して考えないことです。需要予測の精度が上がれば、過剰在庫や欠品が減り、結果として物流コストの最適化につながります。
これまでのEC運営は、「売れた後に、物流で頑張る」という発想が主流でした。
しかしAI活用が進むことで、売れる前提を予測し、物流・フルフィルメントを先に設計するという経営が可能になっています。
ここで問われるのは、AIを導入しているかどうかではなく、AIを前提に、販売・在庫・物流を一体で設計できているかという点です。
ブラックフライデーで証明されたAIの販売力|数字が示す“構造的な差”
AI活用の効果を端的に示したのが、アメリカのブラックフライデーです。
2025年のブラックフライデーにおける米国オンライン売上は約118億ドルで、前年比9.1%増。この成長を支えた要因の一つが、AIの本格活用でした。
AIを介したECサイトへのアクセスは前年比805%増
AI経由のユーザーは、非AI経由と比べて約38%高い購買率

これは単なる集客効果ではありません。AIが顧客を適切な商品へ導き、迷いを減らし、購入までの意思決定を短縮していることを示しています。
さらに、注文が集中するブラックフライデーにおいては、AIを活用して需要を予測し、フルフィルメント体制を事前に整えていたECほど、成果を最大化できたという点も見逃せません。
ここに、AI活用したECサイトとそうでないECサイトの“構造的な差”が表れています。
まとめ:EC経営においてAIは必須インフラ。物流まで含めた設計が鍵になる
対話型AIを巡っては、今後も依存や倫理といった議論が続くでしょう。しかし、EC経営の文脈では結論は極めて明確です。
AIは顧客体験を向上させる
AIは売上と購買率を押し上げる
AIは在庫管理と物流を含めた全体最適を可能にする
ECにおけるAI活用は、明確にポジティブです。
一方で、感情の拠り所としてのAI、いわゆるAIコンパニオンについては、今後、設計思想や利用ルールを社会全体で整理していく必要があります。このテーマについては、別のブログで規制や海外動向を含めて詳しく扱う予定です。
重要なのは、AIを否定することではなく、用途を分けて正しく使うこと。
EC経営者にとってAIは、「導入するかどうか」を議論する段階をすでに超え、販売・在庫・物流・フルフィルメントを一体で設計するための経営基盤になっています。
これから問われるのは、AIを使っているかではなく、AIを前提に経営やオペレーションを再設計できているか。その差が、これからのECの競争力を決めていくことになります。
.png)



コメント