2015年の第15回戦略物流セミナーで発表した「宅配60億個時代への対応策」。再配達ゼロの世界の実現、新たな宅配方法の確立などを訴え、テレビやラジオ、雑誌、オンラインメディアで語りました。
今でも、「宅配60億個時代」のキーワードで書かれるメディアもあり、世間へのインパクトを与えた提言だったと、改めて思いました。
宅配60億個時代への対応策
角井は、2015年から、「宅配60億個時代」について、話していました。
2020年代のうちに、宅配60億個を突破する。だから、今から対応しないといけないということです。
すでに、2022年度には、国土交通省が発表した宅配個数は年間50億個を突破しました。しかし、ここには、アマゾンが独自手法で運ぶアマゾン宅配(アマゾンデリバリーパートナーやアマゾンフレックス)の個数は入っていません。
当時、角井が提言していた「宅配60億個時代」への対策として、下記の3つを訴えていました。
再配達ゼロ(当時は20%)の実現
クラウドソーシングを用いた新しい宅配事業者の参入
小売事業者の自前配送
再配達削減へのムーブメント
再配達は、20数%だった2016年。年末には、宅配荷物のぶん投げ事件が発生し、12月のクリスマス前後は、ほぼ毎日、朝と昼の番組に毎日出て、解説しました。
「ひるおび!」や、「ワイドスクランブル」でも、しっかりと説明しましたが、一番長く話したのは、「とくダネ!」。小倉智昭さんが物流に興味を持っていて下さり、よく登場させて頂きましたし、生放送の中で台本にない素直な質問をされたこともよく覚えています。
宅配研究会
当時の資料を見返すと、再配達は、
2600億円のコスト
9万人分のドライバー
山の手線2.5個のスギ林のCO2排出
に値すると、国土交通省が2014年12月に宅配事業者主要3社に対して行った調査結果で発表されています。
2014年1月に、角井自身が宅配ネットワーク維持に危機感を感じ、「宅配研究会」を発足しました。
「宅配研究会」の参加事業者は、年間1億3700万個を出荷していました。
そのメンバーで、コンビニ留置を、全社共通のシステム構築を目指したり、2016年から3年連続で「再配達削減ウィーク」などを行ったり、再配達削減アプリ「ウケトル」は世に放ったりしました。
伝説の再配達削減アプリ「ウケトル」
このウケトルアプリは、初日ダウンロードが8万を超えるという衝撃のデビューをしました。
また、このアプリは、40%超のMAU(マンスリーアクティブユーザー)を誇り、多くのEC企業から利用の問い合わせを受けました。
が、宅配各社の再配達依頼や不在連絡を、共通インターフェイスで実現することができずに、クローズすることになりました。
コンビニ留置を、全社共通のシステム構築のために、大手商社の方と、コンビニ大手各社とも交渉したのも、思い出します。
再配達削減という社会問題の解決の大きな壁は、各社の独自性を保ちたいという考えでした。それは当然で、今は十分理解できますが、当時は、社会問題解決のために尽力していましたから、理解されない、動いてくれない、否定されることに、憤りを感じていました。
宅配のクラウドソーシング
今では当たり前の考えですが、2015年当時から、宅配のクラウドソーシングを訴えていました。2015年の戦略物流セミナーでゲストスピーカーとしてお呼びしたのは、ライドオンエクスプレスさんでした。
飲食系のデリバリーネットワークの活用や、モデル化を提案しました。
小売業の自前配送(宅配の自前化)
角井の「自前配送」の定義は、宅配車両やドライバーは社外でも、それを管理・コントローするシステムは自社のものを使うことを良います。
特に小売業の自前配送は押してました。
実際、今では、アマゾン宅配(アマゾンデリバリーパートナー、アマゾンフレックス)もありますし、ヨドバシ・ドット・コムの宅配、イオンのグリーンビーンズの宅配もあります。
約10年前の当時の提言は、かなり現実になってきています。
宅配60億個時代を超えて
今後、実態の個数も、統計上の個数も、宅配60億個は超えていきます。
さらに、宅配100億個に向けて、80億個、90億個にもなるでしょう。
2015年に提言した
再配達ゼロ(当時は20%)の実現
クラウドソーシングを用いた新しい宅配事業者の参入
小売事業者の自前配送
は、普遍だと思います。
宅配ネットワークは、社会インフラであり、その維持に尽力することも、角井のやるべきことだと思っています。
最後に、宅配研究会の設立趣意書を掲載します。
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