野村総合研究所が2024年6月5日に発表したレポート「2024年以降も深刻化する物流危機」によると、2030年度に、トラックドライバー不足が36%になると推計しました。
地方のトラックドライバー不足が深刻
エリアごとの不足率も、野村総合研究所の小林一幸氏が率いるチームでは推計しており、上図のように、地方での不足が目立っています。
今後、地方でのドライバー確保が厳しくなり、地域経済の維持が難しくなり、物流サービスレベルも下げざるを得ない状況になると、角井は予想します。
企業経営は、物流クライシスでさらに苦しくなる
さらに、このまま進むと、物流費の上昇により、対2022年度に対し、2030年度は、各産業で営業利益が▲45%になり、製造業▲41%、卸売業▲61%、小売業▲53%となると可能性があると指摘しています。その根拠として、トラックドライバーの給与が、+27%になり、結果、輸送費+34%になるという推計があります。
また、ドライバー数は、2000年度の82万人が、2030年度には、48万人になると推計し、単純計算だと、41.5%減となります。読者のみなさんも、トラックドライバーが大きく減ることになるのは、理解していても、これだけ減ることに、驚きを抱く人も多いのではないでしょうか。
「2024年問題」以前にもあったトラックドライバー不足
トラックドライバー不足が、今、盛んに叫ばれていますが、その前に、ここまで叫ばれた時代があります。
いつだったか、おぼえてらっしゃるでしょうか?
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2008年です。
そうです。リーマンショック前なのです。
その時、角井は、外国人ドライバーの導入を訴えていました。
そのために、英語などの多言語で、大型などのトラックドライバーの運転免許が取得できるようにすべきという話をしていました。
当時、トラックドライバーになるための試験は、日本語だけでした。角井が1991年にカリフォルニアで免許を取ったときは、英語とスペイン語の試験がありました。
今回の2024年問題が叫ばれる今は、中型・大型自動車免許(トラック)を、20言語以上で取れるように進められています。
※普通免許に関しては、2009年から警察庁が英語の例題を作って各警察に配布し、各県で徐々に英語での試験が導入され、20言語以上で試験を受けられる都道府県が多くあります
今後やるべきトラックドライバー不足の対策は?
今後やるべきトラックドライバー不足の対策は、多言語での運転免許試験だけではありません。
角井は、毎週のように、テレビなどのメディアから取材を受けていますが、多くの人は、「
自動運転が実現すれば解決するんではないですか?」と最初に言われます。
自動運転は、普通車など一般車両でさえも、日本では、実用化されていません。
※海外事例は、こちらを御覧ください。
普通車よりも危険性の少ないドローンや宅配ロボットも、やってると聞きますが、実際に入っているのを見たことがある人は、マニアを除いて、ほぼ居ないと思います。
結局自動化の実現のためには、「安全第一」からの脱却、そして、法律改定が必要なので、時間がかかります。
よって、自動化以外の手法を先に行う必要があるのです。
まず、外国人ドライバーの増加施策(多言語での大型免許取得の実現。高度人材などのトラックドライバーへの門戸開放)。
次に、1人が運べる量の拡大(連結トラックや、10トンを超える特殊車両の通行許可のDX化)もあります。
最後に、トラックドライバーさんになりたい人を増やすことです。
そのためには、給与や休暇などの待遇を良くしないといけません。
待遇だけではない。かっこいい職業にすることが大事!
ただ、正直、待遇だけではないと思います。
トラックドライバーになりたいと思えるような「かっこいい職業」にすることです。
一般社団法人ドライバーニューディールアソシエーションという、「トラックドライバーを憧れの職業にし、国民生活を支えるライフラインとしての基盤を確立することで、運送業界から日本を元気にする」という理念を持つ団体があります。
※角井は、この団体の設立メンバーであり、初代の理事でもあります。
トラックドライバーが「憧れの職業」になり、待遇が改善されれば、トラックドライバーになる人は増えるでしょう。
2030年度に36%不足になるという、未来を書き換えることが出来るのは、これが一番重要だと信じています。
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