置き配標準化? どうなる?
- 角井亮一
- 6月28日
- 読了時間: 7分
最近、「置き配標準化」が、話題になっています。その「置き配標準化」について、物流話web版で書いてみようと思います。
置き配標準化などをテレビで解説
角井自身も、いろんなテレビなどで解説しています。
2025年6月25日から6月28日の4日間で、下記のような番組で登場させていただきました。
フジテレビ
フジテレビ「サン!シャイン」置き配標準化(2025/06/25水)
YouTube https://youtu.be/jyxgiW6iQgU
フジテレビ めざましテレビ 日本郵便運送許可取消し (news/カイトウ)(2025/06/26木)
毎日放送
毎日放送 「よんチャンTV」 置き配標準化(2025/06/25水)
毎日放送 「せやねん!」置き配標準化(2025/06/28土)
他にも、お声がけ頂いたのですが、調整がつかず、ご迷惑をおかけしました。(関係者の方、申し訳ありませんでした)
「ラストマイル配送の効率化等に向けた検討会」がきっかけ
この置き配標準化ですが、きっかけは、有識者、配送・小売・EC事業者、自治体、業界団体等からなる「ラストマイル配送の効率化等に向けた検討会」を設置(2025/06/25木に第一回開催)です。
「ラストマイル配送の効率化等に向けた検討会」構成員名簿は、下記の通りで、多種多様な人たちが参加しています。(令和7年6月26日現在、五十音順・敬称略)
【有識者】
青柳 由香 法政大学 法学部法律学科 教授
首藤 若菜 立教大学 経済学部 教授
月野美帆子 読売新聞東京本社 デザイン部 部長
矢野 裕児 流通経済大学 流通情報学部 教授
【地域の配送・小売サービス事業者】
梅屋 智紀 ヤマト運輸(株)執行役員 兼 政策企画室長
河合 秀治 セイノーラストワンマイル(株)代表取締役社長(全国新スマート物流推進協議会 理事)
佐藤 諒平 佐川急便(株)事業開発部 部長
佐々木威知 (株)セコマ 執行役員渉外部 部長
橘 佳紀 日本郵便(株)執行役員
田路 圭輔 (株)エアロネクスト代表取締役 CEO(全国新スマート物流推進協議会 理事)
松本 隆一 (株)CBcloud 代表取締役 CEO
見村 圭美 全日本食品(株)執行役員 IT・マーケティング本部 副本部長
【Eコマース事業者】
佐藤 創一 楽天グループ(株) 渉外統括部 ヴァイスディレクター
原 祐介 アマゾンジャパン(合) ジャパンオペレーション ディレクター
畠山 寛希 LINE ヤフー(株) 政策企画本部長
【地方自治体】
黒木 竜二 宮崎県 西米良村役場 村長
竹中 貢 北海道 上士幌町役場 町長(全国新スマート物流推進協議会 会長)
舩木 直美 山梨県 小菅村役場 村長(全国新スマート物流推進協議会 副会長)
【業界団体等】
石津 直樹 (一社)日本フランチャイズチェーン協会
梶原 健司 (公社)日本通信販売協会 会長
金子 貴史 (公社)全日本トラック協会 役員待遇企画部 部長
富士原和彦 (一社)不動産協会 事務局長代理
羽二塚礼知 (一社)マンション管理業協会 業務・法制委員会委員
※ オブザーバー(関係省庁・部局)
丸田 聡 農林水産省 大臣官房 新事業・食品産業部 食品流通課 物流生産性向上推進室長
朝日 健介 農林水産省 農村振興局 農村計画課 農村活性化推進室長
平林 孝之 経済産業省 商務・サービスグループ 消費・流通政策課物流企画室長
緒方 淳 経済産業省 商務情報政策局 情報経済課 アーキテクチャ戦略企画室長
中野 晶子 国土交通省 不動産・建設経済局 参事官(不動産管理業)
青柳 太 国土交通省 都市局 街路交通施設課長
杉田 雅嗣 国土交通省 住宅局 参事官(マンション・賃貸住宅担当)
三輪田優子 国土交通省 物流・自動車局 貨物流通事業課長
古屋 孝祥 国土交通省 航空局 安全部 安全企画室 参事官
江口 真 国土交通省 航空局 安全部 無人航空機安全課長
平澤 崇裕 環境省 水・大気環境局 モビリティ環境対策課長
平野 雄介 警察庁 交通局 交通規制課長
福田 誠 公正取引委員会 経済取引局 調整課長
この参加者を見たらわかると思いますが、この「ラストマイル配送の効率化等に向けた検討会」では、置き配だけを議論するわけではありません。置き配も含めた多種多様な受取方法の普及・浸透や宅配サービスの在り方の変革を目指しています。
置き配・宅配ボックスなどの多様な受取方法、ドローンや宅配ロボットなどの新たな輸配送方法や、共同配送や貨客混載なども、議論の対象になります。
令和7年(2025年)4月の宅配便の再配達率
この根本にあるのが、再配達率6%目標の達成です。
先日6月23日、「令和7年4月の宅配便の再配達率は約8.4%」(国土交通省)が発表され、再配達率目標値6%に対して、現在、8.4%で、もっと努力が必要だというものです。
令和7年4月 (調査期間:R7/4/1~4/30) | 令和6年 10 月 (調査期間:R6/10/1~10/31) | 令和4年 10 月 (調査期間: R4/10/1~10/31) | |||||||
総数 | 再配達数 | 再配達率 | 総数 | 再配達数 | 再配達率 | 総数 | 再配達数 | 再配達率 | |
都 市 部 | 1,107,960 | 103,113 | 9.3% | 1,136,175 | 114,773 | 10.1% | 1,214,074 | 138,986 | 11.4% |
都市部近郊 | 1,853,256 | 146,753 | 7.9% | 1,909,965 | 161,043 | 8.4% | 1,734,794 | 174,817 | 10.1% |
地 方 | 147,759 | 10,271 | 7.0% | 160,330 | 12,960 | 8.1% | 147,719 | 14,637 | 9.9% |
総 計 | 3,108,975 | 260,137 | 8.4% | 3,206,470 | 288,775 | 9.0% | 3,096,587 | 328,440 | 10.6% |
総 計 (参 考) | 2,441,362 | 231,945 | 9.5% | 2,561,405 | 260,989 | 10.2% | 2,601,800 | 307,511 | 11.8% |
国土交通省発表(令和7年(2025年)4月の宅配便の再配達率)
置き配標準化の目的
2024年問題もあり、ドライバーが不足する中、ECの進展によって、配達件数が増え続けています。そのため、人材不足に対応する施策とともに、配達効率を上げる施策も必要です。
人材不足に対応する施策(特に過疎地域など)としては、宅配ロボットや空中ドローンの活用ができる環境づくりが必要です。
また、配達効率を上げる施策として、置き配や宅配ロッカーの利用促進を促す必要があります。
今回は、「置き配標準化」がクローズアップさて、数多くのメディアでも取り上げられました。
置き配標準化でどうなる?
置き配標準化になるとどうなるのか?と聞かれます。
置き配は、アメリカなどでは標準です。
日本では、判取り(サインや押印)が標準です。
分かりづらいので、非対面←→対面としたほうがわかりやすいと思います。
非対面=置き配なのですが、こちらは、再配達が発生しません。
一方、対面というのは、不在時に再配達が発生します。
アメリカの例をすると、非対面の宅配(doorstep delivery:玄関先配達)が標準で、対面(サイン引き渡し)で依頼する際は、別料金がかかります。
このサインのオプション料金をいうとびっくりされるのですが、10ドル以上かかります。1ドル150円換算で言うと、1500円もかかるのです。
なぜか、対面のオプション料金が100円程度だろうと報道するメディアがあるのですが、100円では済まないと思います。
再配達料金よりも対面オプションが良い!
以前、このブログに「再配達を有料化にしたら?っていう提案は超危険!」という記事にも書きましたが、再配達料金を設定すると、ネット通販では、返品が増えてトンデモナイことになります。
しかし、対面料金だと、先にかかっている費用なので、「受け取れないから返品!」ということは言わなくなります。
なので、対面オプション料金の設定のほうが良い方策だと思います。
盗難のリスクについて
多くの人は、盗難に対して不安に感じられます。
盗難されたときの責任って、どうなるのでしょうか?
やはり、受取人の責任になります。
これを避けるためには、対面オプションをつけて、配達してもらうのか、自分自身で宅配ボックスを設置するのか考えないといけません。
多くの宅配ボックスが設置されたタワーマンションなのか、宅配ボックスがいつも埋まるワンルームマンションなのか、宅配ボックスのないアパートなのか、都会の一軒家(ドアと道路が面している)なのか、田舎の一軒家なのかによって、変わると思います。
角井がよく聞かれて、回答するのは、
一軒家であれば、宅配ボックスの設置
ワンルームマンションやアパートであれば、置き配バッグの設置
です。
宅配ボックスって、どこに頼めば良いのか?という人もいますが、自分自身でもホームセンターなどで購入することは可能です。
また、置き配バッグって、どんなものなのかわからない人も多いので、okippa(オキッパ)を紹介しています。
置き配(非対面宅配)が標準になるのか?
今回の「ラストマイル配送の効率化等に向けた検討会」で、標準宅配便運送約款で置き配が標準になるのかというと、それは無いと思っています。
なぜなら、この検討会の主旨は「多種多様な受取方法の普及・浸透や宅配サービスの在り方の変革」であり、置き配も、その多種多様な受取方法の1つとして、位置づけられているからです。
主要な宅配事業社は、ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の3社であり、3社が足並みを揃えないと置き配が標準とはならないでしょう。
ただし、これまでのことを考えると、足並みは揃わず、置き配標準とはいかないと思いますが、マスメディアを中心に周知され、料金体系(+値上げ)も含め、社会が受け入れてくれる環境になれば、3社が足並みを揃える可能性もあります。
参考:角井亮一解説【置き配標準化について】
宅配標準化について、スライドショーにまとめたので、ご覧ください。
コメント