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執筆者の写真角井亮一

再配達を有料化にしたら?っていう提案は超危険!

もし、「再配達が有料化したら、いくら払うか?」という質問に対して、一般消費者の32.4%は「追加で支払うことはできない・考えられない」と回答をしたと、神奈川県トラック協会による調査で発表されました。

この調査は、2024年4月、神奈川県の一般消費者3,000人を対象に「物流の2024年問題」に関する意識調査として実施されたものです。


再配達の費用負担への意識は低い
神奈川県トラック協会調査

宅配ブルー


実は、宅配ドライバーは、荷物が届けられて初めて、料金をもらえます。不在配達には、お金がもらえません。

宅配を行う、多くのトラックドライバーは、再配達の料金を払ってほしいと願っています。


なぜなら、空振り(不在)のときの宅配ブルーは、大きなものだからです。夏の季節は、水やドリンクの荷物を運ぶことも増えます。

あなたが宅配ドライバーだとして、2リットルのペットボトル6本入った段ボールを、エレベーターがないアパートに、汗を垂らしながら、階段で登って、不在だったら、どう思うでしょうか? 不在だった受取人に文句を言いたくなりませんか?

これが宅配ブルーです。


なので、配達する宅配ドライバーは、再配達を有料化してほしいと思っています。


一方の消費者は、先の神奈川県トラック協会調査のように、支払いたくないと思っています。

消費者(受取人)にも、宅配ブルーがあります。

週末にデートできようと思って買った、かわいいワンピースを受け取りができず、再配達になってしまうような時に、宅配ブルーになります。また、消費者も、もう1回届けてもらうことに「申し訳ないな」と思っている人は多いですから、再配達を頼むのに、宅配ブルーになってしまいます。


宅配に関わる人は、ドライバーと受取人だけでない


宅配は、ドライバーさんと受け取る人だけで終わっていません。

まず、宅配会社が、関係します。宅配会社が宅配ドライバーさんにお金を支払っています。もちろん、大手宅配会社であれば、月給などのお給料の場合が多いですが、一部は、配達1件あたりの成果報酬の場合もあります。

当然、その場合は、不在配達にはお金は支払われません。なぜなら、発荷主が払う金額は、決まっているので、再配達になったからと言って、再度、請求はできません。


ドライバーさんと受け取り人、宅配会社だけが関係者ではありません。

発荷主です。


発荷主は、荷物を出す人です。例えば、家族や友達に荷物を送る一般人も居ますし、取引先に書類やサンプルを送る会社もありますし、ネット通販会社などの販売会社もあるでしょう。

これらの発荷主は、「再配達になったら、追加でお金をもらいますよ」と言っても、コンビニなどで出す人も居ますから、追加でお金を徴収しようもありません。


関係する人が、発荷主→宅配会社→宅配ドライバー→受取人と4者居ますから、この問題解決は簡単ではありません。

それだけが、再配達を有料化できない理由ではありません。


再配達は有料にできない


再配達撲滅の議論の中で、良く出てくる提案に、「再配達を有料にしたら良いんじゃないの?」というものがあります。


もし、仮に、今、再配達を有料化したら、どうなるでしょうか?

先に書いたように、いろんな発荷主が居ます。そこから再配達料金は、もらえません。


では、受取人からもらえば良いんじゃないか、という意見も出てくるでしょう。

しかし、もし、あなたが購入した通販商品が再配達になった時、再配達料金(例えば1000円)を払ってくださいと言われたら、どうしますか?

払う人も居るでしょうが、多くの人は、返品扱いにして受け取らないだろうというのが、多くの通販企業の考えです。そうなったら、どうなるでしょうか? 再配達率は20%なので、5個に1個の商品が返品されてくることになりかねません。

しかも、通販会社にとって、返品処理は、コストが掛かっています。商品は大丈夫かという確認や、場合によっては、新しい箱の入れ替え、保管棚への戻し、お客様への返金(通販会社が払った決済手数料は帰ってきません)など、結構なコストなのです。




このように、再配達問題は、結構奥深い問題で、一筋縄では解決しません。

この記事で言いたいことは、「再配達を有料に出来ない」ということです。


では、他にどんな方法があるのかは、他の記事で書きたいと思います。

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